ちょっと前から楽しみにしていた
ソフィア・コッポラの新作映画「ブリングリング」The Bling ring
やっと拝見しました。
いわずとしれたヴァージン・スーサイズ、マリー・アントワネットなど
「ガーリーもの世界観」を描かせたら一等賞のソフィア監督ですが、
今回のブリングリングは主人公のガールたちから
一歩ひいて大人客観目線で昨今のティーンの現象を
冷静に撮ったような気がします。
ストーリーは数年前一時話題だった
LAセレブ邸宅を狙ったティーンの連続窃盗団の実話をベースに。
とりあえずもうだいぶ昔にティーンというか、
若者やめてる私の率直な感想としては
「いまどきの子供はこんなにも自分の欲望抑えないのかい??」
でした。
70年代に公開されたスンタンリー・キューブリックの問題作で
近未来の若者はもはやこんな風に犯罪や暴力を
愉快に楽しんじゃうようになるかもしれない、という内容の
「時計じかけのオレンジ」なる予言的でだいぶ気分の悪くなる
映画があるのですが、ブリングリング鑑賞中、
罪悪感のない若者たちの犯行姿に対して抱く「まじかよ?」という
感覚が時計じかけの時ととてもよく似ていると思いました。
いやあそれにしても、本当にこの子たち、よく盗む盗む。
それも人(有名セレブ)の家不法侵入して
「イエーイ、いまからショッピング~!」みたいな
明るいノリです。
バレたらやばい、つかまったらどうしよう、親に知れたらめんぼくない、
みたいな罪悪感も恐怖感も一切なくクラブいって遊ぶ感覚で
たくさん泥棒します。
ルパン三世のように盗みの美学があるでもなく、
スリルを楽しむ、というよりは、率直に苦労しないで
自腹で買えない高価な物、金品手に入れたい、
「窃盗」というよりは、持ってる人から欲しいものものれなくもらっちゃお、
動機自体はセレブに「憧れて」どうこう、、、というよりも
パリス・ヒルトンやリンゼイ・ローハンなど有名人の暮らしを
いつもインターネットや雑誌で身近に感じているいまどきの若者の、
あたしだってちょっとどうかすりゃ明日からセレブになれんじゃね?
という気分からくる短絡的でカジュアルな欲求というか、
あたしだってパリスみたいにドレス着てパーティーいって
パパラッチに写真撮られていい車のってエルメスのバーキンもてば
セレブじゃね?
ああ、あと有名になれるならそのきっかけが
窃盗だろうとスキャンダルだろうとセックステープだろうと、
なんでもいいんだよね☆キャハハ
みたいな精神の軽いノリがよく描かれていました。
とはいえ多感なLAのティーンにかぎらず、
人間誰しもそこそこの名声に対する憧れ、
虚栄心はあるものだとおもいます。
特にインターネットなどの普及で誰でもなんでも言い放題、やり放題、演じ放題、
表現の自由はいいことだけど、これはたぶん非常に危険と隣り合わせ。
私もよくブログのような危ない露出やめたほうがいいのではないかと考えます。
それでもやめられないのは習慣が感覚を麻痺させてしまうから。
そう、この手のネットの世界はちょっと麻薬。
たとえばやったことないけどフェイスブック、やってる人からたまに聞く、
なんか友達のFB見てたら自分の生活が劣ってみえた、とか
自分もなんかしなくちゃどっかいかなくちゃって思って焦る、との発言。
私自身やったことないのでわからないのですが、FBというのはただの
フレンドリーが自発的につながってるだけでなく人によってはちょっとした
競争の場というか、常習的に他人の生活と自分の生活を比較してしまう
なんだか不健康な行いだなあという印象をうけました。
これが噂のSNS疲れ?
それもどこからどこまでが真実で虚構なのかいまいちわからないから
100%信じることはできない世界。
映画の中でもしょっちゅう携帯で友達や知り合いと写真を撮りあって
それをネットに投稿する、というシーンが目立ちます。
楽しい自分、キメてる自分、イケイケの自分、遊んでる自分、
誰誰としりあいの自分、こんなにたくさん友達がいる自分、
リッチなことエンジョイしてる自分、キラキラの自分、
かっこいいブランドのバッグもってる(盗品)自分、
ああ自分自分自分、
見ているとくたびれる。若ければ若いほどこういうわかりやすい虚栄に
はまりこみやすいかもしれない。少し冷めた目でそれを見れるのは
私がもう結構年で自分は自分の若い時代に自分なりに
ひととおり色々やりつくしたから。
そして今現在、この瞬間にも
こんな「渦」のなかにいる人は世の中にたくさんいるのだとおもう。
この映画は盗みがだめ、とか最近の若者がどうのこうの、ということでなく、
「病的なのに当たり前」になっている人間の世界の一部分を静かに
サックリ切り取った、そんな雰囲気の作品です。(BGMはウルサ派手にもかかわらず!)
それからハリーポッターの優等生ハーマイオニー役で有名な
エマ・ワトソン初めての汚れ役(?)がんばってます。
とりあえず通常不良でもビッチでもないであろうエマが
「ビッチさ」を一生懸命演出するため
たびたび利用していた小道具が「グロス」
なにかっていうとグロスを塗り込めるビッチな仕草連発、逆にグロス塗ってない時
ふとシラフの「普通のお嬢さん」に戻ってしまいそうで見る側が不安になります。
ちなみに私は髪がからまりがちでグロスが苦手です。
あんなベトベトしてるとキッスする相手にも悪いと思っています。
ところでそんなわけでエマ渾身のビッチ演技なのですが、
いかんせん、全体にかたい?ように感じました。
カツゼツよすぎる喋り方も、かしこそうすぎるオデコの形もエクステの毛質も、、
なにかがいろんな意味ですごくかたくて、、元々イギリスのわりと
ナチュラルで頭の良い女の子ですからそんな無理して
アメリカのバカギャル(若干狡猾)演じなくても、、、という
一抹のいたいたしさが目立ったような、、、、ごめんねエマ!
ちなみにエマがハーマイオニー抜けて
もっとエマらしく直球かわいいのは
個人的には断然こっちの映画!→「ウォールフラワー」
空虚な派手ギャル文化より文学的で私好みの青春群像、
そしてエズラの女装も最高だから要チェケラ
いずれにしてもソフィア・コッポラの作品は見といて損はないので
「ブリング・リング」ご興味あるかたはぜひ!!
って、
日本公開は12月みたいです! 😉
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