ここ数年、パリと東京を往復する飛行機などに
乗ると、本当にいつもものすごく混んでいて、
どれほどたくさんの外国人が日本を目指すの
だろうかとよく思う。
昔に比べ、日本人がヨーロッパへ、というより、
日本へ行きたいヨーロッパ人がたくさんいる。
そう。近年、日本を訪れる外国人は非常に多い。
フランス人のなかにも日本好きがかなり多い。
これはヨーロッパの中でもダントツかも?
たぶん今の外国人からすると、日本はものすごく
未知で、伝統的、礼儀正しく、キッチュで、
古くて、新しくて、ちょっと意味不明で、
魅惑的なデスティネーションなのだろう。
元々「観光」をメインに食べてきたような
国ではないから外国人観光客がワンサカやってきて
対処しかねている部分もまだまだ多いかもしれない。
日本という国は、
鎖国をしていた過去があるけど、
それと同時に常に海外文化に寛容で
オープンなところがある。
海外、とりわけ欧米に開けていて、
影響されやすく、舶来物が好き。
海外(これも欧米)で「~を学んだ」
とか、「賞を取った」、
なんて箔にウブすぎなほどにとびきり弱く、
日本人は大して外国語を話さないが、
(反面、各言語学習意欲は大変高い)
そのわりに笑顔で物腰柔かくなんでも
受け入れるようなおおらかな印象があり、
それでいて同時に、外から来たものに、
ある一線は絶対に越えさせないような
頑なさもあったり。
敗戦時もアメリカから支配
というほどの支配をうけず、日本は
大昔から大体ずっと日本のまま日本でいる。
他国の影響をたっぷり受けているようでいて、
根幹のところは全く受けていない不思議の国だ。
かような人気のおかげもあってか、
海外にいる時、私が日本人だというと、
大体の外国人は
「いい国だ」というようなことを言う。
そして「同じアジアでも中国はいやだね」
という人がすごく多い。本当にどこまで
違いをわかっているだろう?といぶかしくおもう
時もままある。でもまあそれはいいとして、
日本はやっぱり不思議の国だ。
旅行で訪れたら大体いい気分らしいが、
しばらく住んだり、働いたり(外資ではなく現地の日本企業は特に)
したことのある人で最後は嫌いになってしまう人も結構いる。
ダンナの知り合いにも数々いる。
最初の印象がいいだけに、深く入り込もうとした
時に失望したり、複雑な思いを抱く人が多いのだろう。
なぜなのか、やっぱり何か理解不能の、頑なに
閉ざされた越えられないものがあるからだろうか?
私よりも日本を思い、私よりも日本を愛する
ダンナにこれは起こらないでほしいとよく思う。
しばしば「すごく仲がいいのですね」と人に
言われるが、理由のひとつは、おそらく我々の
間には、互いの文化の中でそれぞれお互いを
守り合うような他と異なる絆が生じているから
というのもあるだろうか。
さて、ここのところ、長距離便に乗るたびに
機内で見ようとしては、断念していた映画
「沈黙 -サイレンス-」
をやっとを見た。なぜって161分と
おそろしく長いのだ!飲酒しながら空中で見たら
途中でだるくなり、たぶん7割は頭に入ってくるまい、、
と思って先延ばしにしていたが、ようやく数週間前
ダンナと地上で落ち着いて鑑賞できた。
驚くべきことに、退屈だと一番に言い出しそうな
ダンナが、ものすごくおもしろいと大絶賛。
「沈黙」はもともと遠藤周作の小説である。
原作は若いころに一度、数年前に一度読んだ。
若いころはチンプンカンプン。
(夏休みの宿題とかじゃないかな?)
数年前に読んだとき、やっとすこしわかった。
有名すぎるので詳しく叙述はしないが、
江戸初期の日本、とりわけ長崎におけるキリシタン
(キリスト教徒)迫害とそれに向き合う
ポルトガル人司祭の、どちらかといえば
深淵で深刻やや地味めな話なのだが、これを
まさかの、派手でスケールでっかいテーマと
アメリカン・ピザがいかにも好きそうな(※イメージ)
コテコテイタリア系アメリカ人のハリウッド大監督
マーティン・スコセッシが映画化って、
(知らない人はまず「タクシー・ドライバー」を見て!)
聞いたときはしぇーー!とびっくり。
スコセッシに周作の世界観伝わるのかな?
と不安もあったが主な主役は「スパイダーマン」などに
出ている若手
アンドリュー・ガーフィールド(司祭ロドリゴ役)、
ちょっとしか出ないけど存在感バッチリ、
バットマン The Dark Knight Risesのラーズ・アル・グール役
が素敵なリーアム・ニーソン、最近メキメキ出演作増加の
個性派アダム・ドライヴァー、そのほか窪塚洋介はじめ、
周りはしっかり日本人キャストで固めて
撮り切った。この映画を見て思ったのは、、、
日本はやっぱり不思議の国かも。
外国が入ってくるのはある部分まではいい、
でも、ダメなとこは絶対ダメ。
キリスト教はダメ。絶対。
でも、踏み絵(キリストやマリアが彫られている板)
を踏むならまあOKとする、
など、キツキツの弾圧のわりには西洋の
魔女裁判や異端審問に比べたらだいぶゆるい踏み絵制度
の落差、、(他にも「ツバを吐くだけ」等)
しかしながら、多くのキリシタンがなにが
なんでも踏み絵を踏めず、惨たらしい刑に処される。
見ながら「ちょっと踏めばいいのに!」
「死ぬこたないのに!」
と思わずにいられず、主人公の司祭ロドリゴも
信仰心はあるけれど、なぜに日本人が
あそこまで必死に踏み絵を踏まずにいるのか
わからなくなる。皆が「デウス様!」(ジーザスのこと)
と叫びながら続々命を落とす間も
肝心の神は沈黙しているし。。
多くのフランス人がそうであるように、
ダンナも生まれながらなんとなく
カトリックであるが、いわく
「祈りたければ、
心の中で祈ればいい話じゃないですか」
って21世紀的にそれはまさしくそうなのだ。
命を捨てる必要はどこにもない。
17世紀というのもあるだろうけど、
日本人のDNAは基本的に生真面目かもしれない。
話はちょっと変わるが、90年代一世を風靡した
イギリスの元?大スターバンドOASISの
ドキュメンタリーを見た時、ボーカルの
リアムが、どこの国よりも早く日本で人気に火が
付いたのだが、彼ら(日本人)は英語を話さず、
(おそらくそこまで理解せず)大変おとなしい人たちなのに
なぜ自分たちの音楽にあそこまで熱狂するのか不思議
でしかたなかった。というような事をインタビューで
語っていた。日本人は世界のどこかにある敬愛すべき
「イイモノ」をいつも真剣に探しているような気がする。
そして当時のキリスト教弾圧は政府からすると
まっとうに政治的な対外政策であって、
キリシタン信者にとってそれは宗教の形をした
最高に魅力的な唯一の「文化」でありもしたかも。
なぜだかこの映画を見ながら、いまでも数々の海外企業が
日本に威勢よく進出するも最終的にはひっそり撤退していく
姿を思い出した。派手に上陸し、もてはやされ、宣伝され、
流行る、が、あるとき潮が引いたように消えていく。。
日本ははじめ、そこまでNOとハッキリいわず、
曖昧にニコニコしてるけど、一度受け入れないと決めたら、
外からのもの、異質のものを一切受け入れない時がよくある
国なんだよなと。映画の中でイッセー尾形扮する変声の
井上筑後守が「(キリスト教は)日本では根付かない」と
断言するシーンが印象的。どんなものでも、
日本では根付かないものは決して根付かない。
そして、それがゆえになんとなく大昔から
現在に至るまですこぶる日本のままにやんわり
日本としてままなっている国なのだと。
元々の題材的にも歴史背景的にも複雑かつ
デリケートで多角的な問題を描いている作品で
あるから様々な意見があろうかと思われるが
あくまで今回の映画の感想という点でいえば、外国という
外の視点から日本の内側を見直すという意味で興味深かった。
たとえるなら同じ外から目線の日本を描いた
ソフィア・コッポラの
「ロスト・イン・トランスレーション」よりも
圧倒的に日本をずいずい体感できた。そうそうあるある!と。
ちなみに主人公ロドリゴが日本に来た理由は
尊敬するイエズス会の師であるフェレイラが
少し前に日本でキリスト教を棄教したと耳にした
ショックからであるが、棄教したフェレイラは
監視などはあるのだろうけど、江戸で家やら家族を
日本政府から与えられてお寺みたいなところで
和装を着こなし日本ナイズされゆったり暮らしていた。
ストーリーの流れ的には「屈辱的状況」なのかも
しれないが、21世紀的現代っ子ダンナからすると
あの優遇されて、こざっぱりした日本の暮らしぶりは
将来の自分の理想だと。
(ロドリゴも文京区の家をもらっていた!)
そうしてダンナはさらに日本の心を深く理解すべく
今年も高野山トリップスケジュールを
ひとり一生懸命日本語で立てるのであった・・
ちなみにこの映画、日本舞台ですがロケ地は
台湾なのだそう、というわけで私は
あらためて今、猛烈台湾に行きたい!!
理想は冬なんだけど。。スケジュールの神よ微笑んで
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