2週間も日本にいれば、
ようやく日本時間に体が
慣れきりまっとうな日本人らしく
過ごせるようになるのですが、
フランスから日本に着いたばかりの私と
ダンナはとにかく毎回きまって初期は酷い
時差ぼけと折り合いをつけながらバカンスを
やりこなすことに苦心してばかりいます。
とてもつらいけど、いつもふたりで決めて
好きでやっていることだから、
まあいいのだけど、慣れるまでは本当に
よくフラフラなる。しかも最近では、
東京や実家にあえて立ち寄らず、パリから
日本着いたらすぐさまやお目当ての地方
へとそのまま移動するようにしていて、
一気にまとめて移動だからこれもまた、
なかなかきついのだが、こうするほうが
あとあと体力と精神に余裕が生まれて
お目当ての地方をより思う存分
満喫できるという結論にいたりそうして
います。今回の青森訪問もそのように
して、パリからがんばってやってきた。





私は東北というところを全く知らないので
なにひとつ想像できずに降り立ったのだが、
ひとまず青森空港はコンパクトで、無駄に
だだ広い空港が嫌いな私たちには結構いい。
レンタカーも空港横ですぐに借りられて、
今回初期滞在先であった弘前までも
アクセスしやすく、なにより道が全く
混んでいないのが最高。パリや東京など、
大都市の暮らしはいらないストレスや
時間のロスが人間の出入り、人口の多さゆえに
実に多いのだなとこういったところで気づかされる。
だから近頃私とダンナは田舎を前よりも
深く愛する。
ずっとそこに暮らすのが無理であっても
簡単な生活ベースは軽く都会におきつつも、
思いついたらしょっちゅう田舎を
訪れられる生活に普段からしておけばいいと
よく話し合っている。
今回青森に来た最大目的は奇跡の木、
ヒバだから、着いた途端ヒバの枕など
買って、オイルたらして、ヒバヒバする。




さて、時差ぼけすぎて、
朝の1~2時にはパチーンと目が覚めてしまう。
でも足さえあれば、思いついたときに
いつでもどこでもいけるから、どこの国でも
レンタカーで車をおさえておくのは時差ぼけの
我々にはとても重要。
まあまだ朝2時半だけど、もうお出かけしましょうか、
と、お顔作ってドライブ開始。驚くべきことに、
24時間営業しているラーメン屋を発見、
「オーマイガッド!そことまって!!!」と
運転手ダンナに叫びながら
朝の3時に日本でちゃんとおいしいラーメン
食べて満ち足りた気持ちになっている
フランスかぶれme&danna.
ラーメン山岡家 弘前店
これだから日本はやめられない



そうこうする間に、朝陽がのぼりはじめる、、
5月末くらいから、もう朝4時くらいには
陽が上がる日本、ステキね。。
長距離ドライブはこんな早起きすぎる日にこそすべき
だってわけで初っ端から津軽半島を一周することにしました。





石川さゆりの名曲「津軽海峡冬景色」の
記念碑がある竜飛崎は、たぶん人生でここまで
強風に吹かれたことはないだろうと確信する
レベルに、読んで字の如く、本当に竜がびゅんびゅん
飛んで通っていくみたいな突風がふきすさぶ
すごいところだった。(とはいえ語源はこれまた
恐山と同じくアイヌ語からきているようだが)
このあたり源義経北行伝説の舞台の1つでも
あるみたいで日本人の義経伝説好きっぷり
おもろいねって話でダンナと盛り上がる。
ここに来れたのが嬉しくって、今の今まで演歌に
一切興味なかったけどダンナと「津軽海峡冬景色」の
さびを何度も何度も一緒に歌った。「スナックで
おじさんたちが必ず歌う曲」とちょっと甘く
見てたんだけど、実際青森来たら何度だって
歌いなくなる曲なわけだよこれは!






ところで、今回心の底から後悔していることは
あまりに来た時間が早すぎて、この近くの金木
という町にある
に開館時間までは到底待てず
行かずじまいだったこと。
太宰治を、わりと愛しているほうなのに、
時差ぼけに勝てない自分。これはまた
いつか行き直したいとおもう。
実家に帰ってからせめて復習のためにと
読んだ太宰治の「津軽」は太宰の故郷や生家、
育ちに対する微妙な気持ち(かなり良家の出)
と彼の持つそこはかない悲しみと儚さと特有の
ヒリヒリするような感受性がにじみ出ており
読んでいる間ずっと息が苦しくなるようなものだった。
十分魅力的で、才能もあるのにどうしても弱くって
自分で死を選ばずにいられない魂代表格。


その後は十三湖のほうで名物のしじみ汁を
いただく。なかなかに早朝なのにオープン
していてありがたい!しじみの滋養半端ない。




この日の温泉は、太宰も訪れたことのある
大鰐という町!




青森の包み込むようなオレンジの夕陽の色は、私たちの
お気に入りフランスの北のノルマンディー地方と、以前
訪れた北海道のあたり、あとほんのりカリフォルニアに
よく似てるとおもった。

