先日シャルトルの近くまで用事があって
向かった折、次々と現れる高速道路の看板を
なにげなく眺めていたら、途中にイリエ=コンブレー
という町の名が目に飛び込む。イリエ=コンブレー
といったらさ!
マルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」
の中によく出てくる舞台ではないか!大学生の頃は
そこまで身が入らなかったプルーストの授業など
受けながら、イリエ=コンブレーって、、なんか、
いりこ昆布出汁みたいな名前だなーくらいにしか
思ってなかったけど(←やや不真面目)パリから
そう遠くもないところにそのフランス大文学の町は
あったのね、、その日は途中下車無理だったけど、
プルースト記念館などもあるみたいなのでまたいつか
ちゃんとイリエ=コンブレー来なくっちゃだわ。と、
そんなことを頭の片隅に置きながらコロナ後遺症やら
体調弱めだったりして、多くの時を自宅で安静読書。
で、こんな時こそ、、ずっと読んでいなかったある日本人
研究者の各国マニアック文学に関するエッセイ本を再読する
ほかあるまいよと気まぐれに本棚から取り出してパラリと
開いたら、これまたプルースト分析言及出た!
しかも年とったからか昔より色々面白く読める。
なに?なんだか最近プルースト感多めなあたしがいる??
と、ざわめくもそんなことはまた忘れていて、ある日はすごく
気になっていたパリ8区プチ・パレで開催されていた
イタリアの印象派画家ボルディーニ展へ到着。
ベル・エポック時代のフランス、パリ社交界で
肖像画家として名声を得たイタリア人の
ジョヴァンニ・ボルディーニ。
実はボルディーニの描いたものとは知らずに学生時代
からずっと私の中で鮮烈な印象を放っていた作品が
あったのですが、それがこちらのボルディーニによる、
ステッキも鼻先も顎もヒゲもツンツンにとんがった
彼の自意識自体をよく表しているのではないかと思わせる!
フランス大貴族で詩人のロベール・ド・モンテスキューの肖像。↓
嫌味なレベルのゴージャス・スノビズム・ダンディの
鑑と謳われたロベール・ド・モンテスキュー(1855-1921)
は19世紀フランス文学作品のモデルとしてしばしば作家に
インスピレーションを与えたり同時代のアーティスト
たちからもてはやされたレジェンダリーな人物で
ありますがなかでも有名なのは、
ジョリス=カルル・ユイスマンス(1848-1907)の
『さかしま』におけるマニアックディレッタントの
極み主人公デゼッサント、マルセル・プルースト
(1871-1922)のマドレーヌだけが有名すぎて一人歩きの
小説『失われた時を求めて』における登場人物
シャルリュス男爵らのモデルです。小説を読む時、
主人公のビジュアルイメージがつかめている方が
入りやすい質なので、『さかしま』を読む時はいつも
この肖像画の人物を想定しながら読んだものよね、、
で、ここでもまたそんなかんじでプルースト繋がり出た!
今年はそんな7月だった✌
あーやっぱこの絵はいいわ~としばしうっとり
モンテスキュー伯爵以外、展示されていた
ボルディーニの作品は圧倒的に男性よりも女性を
描いたものが多かった。たまに自分の自画像などもあった。
ちなみに、セムという友人が描いたボルディーニは
下の絵の左から二番目、、なかなかに屈辱的な
描かれ方のような、、セム、友達のふりしてわりと
嫌な奴なのでは?と疑う↓身長はしかし低めだったっぽい。
下のポートレイトはボルディーニ自身
お気に入りだったのか、他の作品にも
ちょいちょい登場する
Portrait d’Emiliana Concha de Ossa↓
エミリアーナ嬢
エミリアーナを眺める黒服↓
エミリアーナの前でピアノ↓ etc..
こちらはたしか「花火」というタイトルの絵。↓
友達と「どこらへんがどう花火か??」と
よくよくじっくり眺めるにドレスの火花感でしょうか。
他にも、レディたちは流れる曲線のごとき
流麗なるドレッシーボディライン
親切に当時の衣装の展示などもされていて、
フランスにしちゃ細かいところまで
なかなか気遣いと工夫のある展示。
描かれている女性たちの足元は皆やたらと細くて
まるで少女漫画なのだが、靴の実物見たら本当に
細くて「私、甲高幅広なんで~」とか
言ってられない空気だっただろうなと社交界の
ストイックさを実感。私は所詮ワラジの国の女・・
「え??美輪様??」
3度見
友達と、この人超きれい!美人!!と
絶賛したのはこちら↓
Portrait of Princess Marthe-Lucile Bibesco
オチ的には素晴らしく素敵なポートレイトなのに
彼女の夫がデコルテ出し過ぎ!と嫉妬して
購入に至らなかったとか、、
この場合キャンセル料発生するのかな?などなど
下世話なことを考える自分がいて。。
とにかく久しぶりにかなり充実、見ごたえありすぎて
楽しさ半端ない美術館欲急上昇の展覧会でした!
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