イギリス海峡に臨む
フランス北西部の
ノルマンディー地方は、
今まで私とダンナ
にとっては
「パリから車で気軽に
行けるのどかな田舎」
というイメージで、一応
「ノルマンディー上陸作戦」
のことはもちろんたまに
映画や文献などで目や耳
にしはするけど、それが
どれくらいどれほど
ノルマンディーに関係して
いるかあまり深く考えた
ことはなかった。

のだが、今回また
いつものふんわりなノリで
「すごくなんとなく」
に行ってみようか♪という
話になって訪れてみた時
それまでの自分たちと
何らかの意識が変わった
ように思う。またちがう
フェーズに入った、というか。

想像以上に広大なこの
墓地はノルマンディー
上陸作戦で連合国が
上陸した
オマハ・ビーチと
イギリス海峡が見渡せる
断崖の上にある。
一見爽やかな海風に吹かれる
この緑と青の場所が
軍事用語D-デイ

と呼ばれる1944年6月6日
にほんの数分単位でおそろしく
多くの人命が失われた血まみれ
の殺戮現場となった事実は
現在の自分達には想像
しづらかった。



本当に心から感動的
なレベルにすべて
どの角度から見ても
まっすぐ並んだ白い
十字架(たまにユダヤの星)
は息をのむほど美しく、
また、ダンナとさらに
驚いたのはここがフランス
だというのが信じられない
レベルに、まったく完全に
「アメリカ」にしか
感じられない空間だと
いうことだった。
なんというか、まるで
ハワイかLAにでもいる
かのような、、



生い茂っている植物さえも
アメリカっぽいような、
ついでに来訪している人々
もどことなくあまり
仏人仏人していなくて
色々すごく不思議だった。


時々足を止めて
十字架を眺めていると、
ものすごく爽やかで
美しい空間に立って
いるのに、急に心が
ポッカリするような
感覚に襲われて油断
するとじんわり涙が
こぼれそうになって
しまうのも不思議だった。
ダンナも同じだった
みたいでそれは昔
鹿児島行った際に
訪れた
にいた時感じた感覚に
よく似ていると言った。




9,387人の米国兵士の
英霊が眠っていて、
フランス政府は米政府に
対してずっとここを無賃料、
無税で提供しているという。



帰宅してから、
ちょっと戦争ものは
好きじゃないし。。。
と長年鑑賞を避けてきた
スピルバーグ監督の
『プライベート・ライアン(1998)
を初めてちゃんと見たら
リアルに再現されたという冒頭の
ノルマンディー上陸作戦の様子が
あまりにも、あまりにも残酷で
惨い。こんなに簡単に人命が
失われる信じられないような
事態があのビーチで淡々と
行われていたなんてと
改めて衝撃をうけた。
最終的にはドイツを
倒して連合軍は勝ち
第二次世界大戦を終結
に導いたということで
わりと美談みたいになって
いるけど、そこに至るまで
失われた命があまりに
多すぎるし、ほとんど
無防備に船をおろされ
海から上陸する兵士たちの
置かれた状況は、
ひたすら壮絶すぎるし、
かわいそうだし、そもそもこの
上陸計画いまいちどうなの
というか段取りと見通し
本当にちゃんとできてたの??
というかんじだし、
ただただ海から陸に向かって
撃たれ続ける若い兵士たちは
本当に想像を絶する恐怖を
抱えてひたすらしんどいし
寒いし濡れてるし痛いし
周りでどんどん仲間が
負傷したり死んだりして
ひたすら苦しい思いをした
だろうな、などなど考えたら
もう戦争とか人の命ってなんだろう?
という気分にしかならなくて、
なのにあれから80年くらいたつのに
またいまだに戦争開始しようかな、
みたいな空気が近頃世界に
満ちてるのももうなんなわけ??
というかんじだし。


ダンナとも色々
語り合い、その後ちかくで
シードル農場を見つけて


数本ゲットし、なおかつ
上陸作戦の行われた
オマハビーチに行って飲もう、
と向かったら8月晴天の
オマハビーチは
激激激混みで車が駐車できず
車窓から眺めながらシードル。

過去には多くの死体と血に
染まった海岸でみんな
ゆったりくつろいでいた。
歴史ってそういう、なんて
いうか起きた事柄の上にどんどん
かぶせてく、でも根源的に起きた
ことはずっとそこにある、ていう
かんじだなとよく思う。

帰宅してからダンナと、
これを機会に自分ら
第二次世界大戦のあたり
を今一度学びなおした
方がいいよねという企画が
持ち上がり毎日関連映画会を
行った。まず先にあげた
では映画の最初と最後にこの墓地が
でてくる。あとドキュメンタリーの
同じくフランス舞台もう一回
戦時中ドイツ軍の暗号エニグマ
を解読した数学者アラン・チューリングの実話
イミテーション・ゲーム/エニグマと天才数学者の秘密(2014)
それから日本の戦時下も見直し必須
(ヨーロッパではヒーローな
アメリカにやられてる日本を
見るのも複雑な気持ち)
あとついでにこの墓地が一部
撮影とポスターに使われている
ということで戦争話ではないが
も再見。様々な角度からこの場所の
ことを胸に刻んでこれからもう
忘れないことにしたme&danna
の夏2025。

